酵素ドリンクって本当に飲む必要あるの?
「消化酵素をたくさん使うと代謝酵素が減ってしまうから、食べ物から酵素を積極的に摂ることが必要」という話を聞いたことがある方も多いと思います。
引用:
https://biosupli.co.jp/read-supply/01-5/
https://immunocasa.co.jp/news/2018/06/20180613-01.html
体内にある酵素は役割によって「消化酵素」と「代謝酵素」に分けられます。
「消化酵素」は食べた物の消化を助け、胃腸で分解・吸収しやすくしてくれます。
不足すると、胃もたれや吐き気につながったり、食べたものの栄養素を吸収できずに栄養失調になってしまったり。
一方で「代謝酵素」は、消化酵素によって分解し、吸収した食べ物を体の隅々に届けて活用する働きがあります。
細胞分裂や脂肪燃焼、免疫などの代謝に関わり、自然治癒力にも大きく影響します。
不足すると、免疫力や自然治癒力が下がって病気になりやすくなったり、痛みがなかなか治らなくなってしまうことも。
消化酵素と代謝酵素はどちらも大事で、不足してしまうと病気や痛みに直結してしまうことがわかります。
しかし、「消化酵素をたくさん使うと代謝酵素が減ってしまうから、食べ物から酵素を積極的に摂ることが必要」という説には、実は科学的根拠がありません。
「積極的に食べ物から酵素を摂取して消化酵素の消費を減らし、代謝に多くの酵素を割いて健康な生活を送るようにしましょう」
というのは、故エドワード・ハウエル博士が提唱した仮説であって、実験や臨床現場で確認されていることではないんです。
体内の酵素は、消化や免疫反応など必要に応じて別々に合成されます。
なので、消化酵素と代謝酵素は総量が決まっていて、消化酵素をたくさん使うと代謝酵素が減るという説は成り立たないと考えられています。
例えば、酸っぱいものを見ると唾液がたくさん出てきます。
唾液の中には「唾液アミラーゼ」という消化酵素が含まれていますので、酸っぱいものを見た人は消化酵素を多く分泌していることになります。
ですが、酸っぱいものを見ると代謝酵素が減少するという科学的根拠はありません。
これは、体内で必要な酵素が別々に合成・調整されているためです。
また、食べ物から摂取した酵素は消化過程で分解されて機能が失われるため、体の中で酵素として働くことは期待できません。
しかし、もし消化に負担のかかる生活、例えば甘いものや油物ばかり食べるような食生活が続けば、内臓への負担が増えて機能低下を起こし、その結果として代謝が低下することは十分考えられます。
「酵素の節約」とは無関係ですが、臓器疲労による免疫力・自然治癒力の低下が起きてしまうんです。
酵素ドリンクや発酵食品、生野菜などは酵素を補充するものではなく、発酵過程で生成される有用栄養素やファイトケミカル、腸内環境を整える食物繊維を摂取するためにとても重要です。
「消化酵素をたくさん使うと代謝酵素が減ってしまうから、食べ物から酵素を積極的に摂ることが必要」という話は科学的根拠がなく、食べ物から摂取した酵素が直接体内で働くわけでもありません。
酵素補給のためではなく、野菜不足や腸内環境改善の対策として、酵素ドリンクや発酵食品、生野菜を摂取していきましょう☀️